「再来週の日曜日、お祭りで二胡演奏するんだけど、一緒に行く?」
という二胡の先生のお誘いに、
「はい!」
といつものように即答した。
習い始めてまだ2年。人前で演奏してもよいレベルにはまだまだ遠いが、自分のためについつい、いい返事をしてしまう。
何もなくても、日々黙々と練習に励んでいるが、発表する機会があるとなると練習への意気込みが全然違ってくる。毎日お決まりの手順で弾き流しがちになる練習が、気合を入れ、音程や音に気を付けながら一曲一曲を正確にきれいに弾こうとする練習に変わるのだ。そんなチャンスを逃すわけにはいかない。
お祭りでの演奏を終えた。先生と一緒に3曲(先生はプラス3曲)。(多分だが)たいして音程も狂わず無事演奏でき(たように思うから)、ホッと胸をなでおろした。演奏後にいただいたお抹茶の温かさが心地よい。最後の出し物、小学生がソーラン節を踊るのを観覧し解散した。
駐車場で車に乗り込みドアを閉めた。すると、運転席の窓からおばあさんが2人覗き込んでくる。うん?何か口が動いているぞ、、。・・・「ありがとう」・・・
!!!
なんですって!!まだお粗末な演奏しかできない私にそんな言葉を言ってくれる人がいるのだ。車を飛び降り、「こちらこそ。」とお礼を言う。習っている場所や経験年数などひとしきり話した後、
「上手だったよ。途中で笑っていたのはなんで?」
と聞かれた。
「よく覚えてないんだけど、、。本当はいけないんだと思うけど、多分間違えて照れ隠しで笑ってしまったんだと思う。」
と言うと、
「それがええんよ。楽しそうに弾いているように見えたよ。」
なんて言ってくれる。ああ、なんとありがたい。
「来年もまた来てね。」
と最後にとどめのようにやさしく言葉をかけてくれて、おばあさんたちは帰っていった。心が温かく熱くなった。
また、あのおばあさんたちに聞いてもらえるように、もっと上手くなれるように、がんばろう。
おばあさんたちにやる気と元気をもらえた本当にありがたい発表となった。